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東京家庭裁判所 平成3年(家)8511号 審判 1991年12月06日

申立人 張桂華

相手方 周之光

事件本人 周克之

主文

事件本人の監護者を申立人と定める。

理由

1  本件記録によれば、(1)申立人と相手方は、昭和63年2月婚姻し、両名間に事件本人を儲けたが不和となり、平成3年4月19日離婚したこと、(2)申立人と相手方は、昼間は通学し夜間はアルバイトのため事件本人を育てることができず、○○児童相談所に相談した結果、事件本人は平成2年10月1日○○乳児院に措置されたこと、(3)申立人と相手方は、ともに事件本人に面会し、事件本人との関係は良好であること、(4)申立人は事件本人の引取りを希望し、平成4年4月からの保育所入所も決まり、身元引受人の援助も得て、養育することが可能であること、(5)乳児院の法律上の年令制限は2歳であること、(6)相手方は離婚後、肩書住所地に1人で居住し、かつ、同会社に勤務し、事件本人を引き取れる状況ではないこと、(7)申立人は事件本人の引取りを希望しているが、相手方はこれに反対しており、申立人が引き取るには申立人が単独の親権者か監護権者となる必要があることが認められる。

2  ところで、本件については、法例21条により中華人民共和国の法律が準拠法となるところ、中華人民共和国婚姻法29条には、離婚後父母は子女に対し撫養及び教育の権利と義務がある旨、更に、哺乳期後の子女について、父母双方の間に撫養の問題で争いが生じ、協議が成立しない場合は、人民法院が、子女の権益及び双方の具体的状況に基づいて判決する旨定められている。そうすると、上記法院の判決は、我が国の子の監護者の指定と同様の内容を有するから、家事審判法9条乙類4号の審判により代行することができるものと解する。

上記事実によれば、事件本人は現在特に問題はないが、母親が引取り養育できるならばそれが望ましいし、いずれ乳児院を退院しなければならないのであるから現時点で監護権者を定めることは何ら差し支えない。

3  よって、主文のとおり審判する。

(家事審判官 岡部喜代子)

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